PSpice 入門

 SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)とは電子回路シミュレーションプログラムのことで,ここでは PSpice というツールを使います。PSpice は Cadence 社の OrCAD に含まれているソフトで,全世界で使われているらしいです。「抵抗」や「トランジスタ」といった素子の部品を図面に配置して,電圧などを設定するだけで波形が表示されるというお手軽な(といっても奥は深い…)ソフトです。実際の電子回路の測定にはオシロスコープなどの高価な器械が必要ですが,パソコン上でシミュレーションを行うので特別な器械は必要ありません。要るのは電子回路の知識だけです。

回路図シミュレーション波形

 なお,このページを見ながら PSpice の操作を行おうという方は,あらかじめ印刷しておくことをおすすめします。ただ,この図入りですので枚数が多くなる可能性があります。印刷プレビューで印刷する前に枚数を確認してください。

  1. PSpice の入手法
  2. PSpice のインストール・起動方法
  3. PSpice でできること
  4. 中学生レベルの回路 【直流一定電圧で過渡解析】
    4.1 理論
    4.2 回路図作成
    4.3 Simulation Profile の作成
    4.4 シミュレーション
  5. RC ローパス(低域通過)フィルタ 【周波数を変化させる AC 解析】
    5.1 直流(AC)と交流(DC)の違い
    5.2 周波数とは
    5.3 RC ローパスフィルタとは
    5.4 理論
  6. バイポーラトランジスタによる基本増幅回路
    6.1 エミッタ接地回路
      6.1.1 理論
      6.1.2 シミュレーション
    6.2 固定バイアス回路
      6.2.1 理論
      6.2.2 シミュレーション
      6.2.3 シミュレーション(入力信号あり)
    6.3 電流帰還増幅回路
  7. トランスを用いたシミュレーション
    7.1 回路図の描画
    7.2 トランスの設定
    7.3 シミュレーション
    7.4 シミュレーションエラー
      7.4.1 ERROR -- Model TN33_20_11_2P90 used by X_TX1.K_TX1 is undefined
      7.4.2 ERROR -- Convergence problem in transient analysis at Time = ???
  1. 回路図入力のための前準備
    A.1 プロジェクトの作成
    A.2 ライブラリの追加
  2. 素子・電源の呼び出しと配置
  3. グランド(0V)の呼び出しと配置
  4. トラ技ライブラリの組み込み方
  5. グラフの配色の変え方

0. はじめに

 上のほうに,電子回路の知識だけなどと偉そうに書きましたが,かく言う僕はとても人に「俺は電子回路を分かっているぜ」なんてとてもでないですが公言できません。大学 1,2 年生の時などは講義を聴いていても全くチンプンカンプンでした。事実,1 年生の後期に習う「電気回路論T」という講義も,中間試験は確か 40 点で,何とか「可」で単位をいただいたものです。


 僕が PSpice を使い始めたのは電子回路の講義がきっかけでしたが,当然電子回路のことなど全然分かっていません。理解できたのは先生の雑談だけ…。入力インピーダンス? 伝達関数? トランジスタ? ベース接地? エミッタフォロワ? オペアンプ? 増幅回路? 何じゃそれ??という感じでした。
 一体それらが何の役に立つねん?内容も目的も分かりませんでした。そしてレポートの前日には,一晩かけてほぼ徹夜で一冊の参考書を読んで何とか解いたものでした。しかし,それにもめげず簡単な回路から PSpice や教科書やその他の参考書と共に利用しているうちに,ようやく少しずつ理解できるようになりました。みなさんも是非 PSpice で電子回路に対して興味が持てるようになってください。

 特に電気電子工学科の学生にとって電子回路は重要です。大学院入試で一番の難関と言われています。

1. PSpice の入手法

 私は OrCAD Family Release 9.2 Lite Edition を用いています。このソフトは,棚木義則 編著,「電子回路シミュレータ PSpice 入門編」(CQ出版社)に付属していますし,トランジスタ技術(CQ出版社) 2005 年 10 月号にも バージョン Release 10.0 が付属していたはずです。神大電電生であれば,電子回路の講義を担当されている某教授にお願いしみると何かいいことがあるかもしれません。

2. PSpice のインストール・起動方法

 インストール方法などに関しては,上に挙げた本を参考にするか,沼先生の講義サポートページをご覧になる方がいいかもしれません。一応気をつけておくべきことを簡単に述べます。
 インストールするソフトウェアを選択する画面が表示されますが,そのうちの「Cpture」と「PSpice」のみを選択し,「Capture CIS」と「Layout」は選択しません。このソフトはすべて英語ですが,日本語のヘルプマニュアルが用意されています。それのインストール方法は,CD-ROM の PSpice\Orcad\Help_J\setup.exe を起動してインストールしてください。ソフト,日本語マニュアルのインストール先の指定は,決して日本語が入らないようにしてください。外国製のソフトですので日本語が混じっていると起動しません。まぁデフォルトのままだと日本語は入らないと思いますので問題ありません。
 PSpice の起動は,[スタート]−[すべてのプログラム]−[Orcad Family Release XXX]−[Capture Light Edition]をクリックしてください。勘のいい方はこの説明でお気づきかも知れませんが,WindowXP SP2 上でも動作しています。

3. PSpice でできること

 PSpice でできる解析は色々あるようですが,基本的に以下の 3 つに大別されます。

過渡解析(Time Domain, Transient)
 時間の変化とともに回路中の電流や電圧がどのように変化するのかを調べます。
つまり,グラフの横軸が時間となります。オシロスコープと同じです。
DC 解析(DC Sweep)
 直流電圧,直流電流を変化させたときの電圧や電流の様子を調べます。
グラフの横軸が直流電圧 or 直流電流になります。DC は,Design Compiler のことではありません。(ごく一部の人にしか通用しないネタ…)
AC 解析(AC Sweep)
 交流の周波数を変化させたときの様子を調べます。グラフの横軸は周波数となります。

 4 章で直流電源を用いて一定電圧のもと中学生レベルの回路を作り過渡解析をします。5 章でフィルタ回路を作成して AC 解析します。


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