PSpice 入門(第5章)

5. RC ローパス(低域通過)フィルタ回路

 4章では単純な回路の解析を行い,ずっと一定の値になるしょうむない結果しか得られませんでした。ここでは少し大学生らしく,RC ローパスフィルタ(LPF,低域通過フィルタ)を取り上げてみます。

5.1 直流(DC)と交流(AC)の違い

 直流とは方向の一定した電流交流とは一定時間ごとに方向を交互にかえて流れる電流のことです。一般家庭のコンセントには交流 100 [V] の電気が流れています。図 5.1 に直流電圧と交流電圧の違いを表しました。赤色の波形が直流電圧緑色の波形が交流電圧を表します。ともに電圧は 1 [V] で,交流の周波数は関西圏と同じ 60 [Hz] に設定しました。

図 5.1 直流電圧と交流電圧の違い(赤:直流電圧緑:60 [Hz] 交流電圧

5.2 周波数とは

 上記のように,交流は流れる電流の向きが一定時間ごとに変化します。その変化が 1秒間で何回起こるのかを表すのが周波数で,単位は [Hz] (ヘルツ)です。厳密に記述すると,1秒間に何周期するかが周波数です。1周期とは波形の山 1つ分です。図 5.1 の緑の波形で考えると,0 [ms] から 17 [ms] が 1周期になります。別に,4 [ms] から 21 [ms] を 1周期と考えてもいいです。ちなみに,[ms] とは「ミリ秒」のことで,1秒の 1,000分の1秒のことです。
 周波数が高ければ高いほど変化の激しい波形になり,低ければ低いほど変化の緩やかな波形になります。その例を 図 5.2 に示します。赤色の波形が 30 [Hz] の交流電圧緑色の波形が 60 [Hz] の交流電圧です。緑の山 2つ分が赤の山 1つ分に相当するのがお分かりいただけるでしょうか。それは周波数がちょうど 2倍異なるからです。
 また,ここで気付かれた方もいるかもしれませんが,直流とは周波数 0 [Hz] の交流と考えられます。

図 5.2 周波数の違い(赤:30 [Hz] 交流電圧緑:60 [Hz] 交流電圧

5.3 RC ローパスフィルタとは

 RC ローパスフィルタは,その名の通り抵抗とコンデンサで構成される回路です。ローパスというのは,低い周波数の信号(電圧,電流の波)を通過させるという意味です。つまり,周波数の高い信号はローパスフィルタによりほぼカットされてしまいます。そのため,ローパスフィルタ(LPF)は低域通過フィルタとも呼ばれます。似たような性質のフィルタに,高周波信号のみを通すハイパスフィルタ(HPF,高域通過フィルタ),ある特定の周波数を通すバンドパスフィルタ(BPF,帯域通過フィルタ)があります。
 さて,RC ローパスフィルタの回路図は 図 5.3 のようになります。左側が入力(V1),右側が出力(V2)となります。

図 5.3 RC ローパスフィルタ

 RC ローパスフィルタのイメージを 図 5.4 に示します。低周波信号はそのまま出力されますが,高周波信号は RC ローパスフィルタによりカットされている様子を表しています。

入力信号RC LPF 回路出力信号
図 5.4 RC ローパスフィルタのイメージ

5.4 理論

 では RC ローパスフィルタは,一体いくらの周波数までそのまま通過させて,いくらの周波数から遮断し始めるのでしょうか。厳密にその境界の周波数を求めることは難しいのですが,出力電圧が入力電圧の 1/√2 倍(-3dB)になるときの周波数を高域遮断周波数といい fH で表し,高域遮断周波数は以下の式で表されます。

 なぜ fH がこの式で求まるのかは教科書などに譲ります。図 5.3 の素子の値を上式に適用すると高域遮断周波数は以下のように求まります。

fH = 1.59 [kHz]

 では本当に周波数 f = 1.59 [kHz] の時に出力電圧が入力電圧の 1/√2 倍 になるか PSpice を用いて確かめてみましょう。




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